「昼休みのあと光太郎、なぜか俺に異常にびびってたし」
そっと私の頬を撫でる、綺麗な手。
「…光太郎が俺にびびるなんて、仁乃絡み以外ないでしょ」
光太郎くんは、私に少しひどいことを言ったという自覚があった。
壱にばれたらえらいことになると思って、壱にびびっていた。
光太郎くんの態度から私絡みだと勘づいた壱が、光太郎くんを問いつめた。
でも光太郎くんが恐怖から口を割らないから。
「試合で決着つかなかったしフリースローで負かして吐かせるつもりだったんだけど、仁乃が来てミスった」
やっぱ殺るしかないかな、なんて物騒なことを伏し目がちに呟く壱に、私は言った。
「光太郎くん、悪くないの」
幼なじみの私は、こんな、だめだめだけど、でも壱は、いい友達を持ったと思う。
光太郎くんのあれは、壱を想った、言葉だ。
「私が、悪かったの」
壱が大きな目を、少し細めた。


