なんで今、こんなこと、聞いてる場合じゃないのに。
でも今、聞かなくちゃいけない気がして。
壱が驚きもせず私の頬に手を添えるから、私の選んだ言葉を、それで正しいよって肯定してくれているみたいで思わず息を飲むと。
「仁乃は、光太郎になに言われたの」
質問に質問でそう返されて、私は目を見開いた。
いつも驚くのは、私のほうだ。
「なんで?」
「なんとなく」
「なんとなくって…なんで?」
壱の行動に根拠があるように、言葉にも絶対根拠がある。
説明を面倒くさがってすぐになんとなく、で終わらせてしまうけど、私は昔から壱のそれを絶対なんとなく、で終わらせたくないんだ。
ベッドに組み敷かれたまま、至近距離で漂う沈黙に耐えていると、壱が口を開いた。


