同じ轍は踏まない、と、壱に並んでベッドに座ることはせず、壱の足元のフローリングに座って壱を見上げた。
シャンプーのにおいも、壱のにおいも濃くなる。
バスタオルを被った壱は、濡れた髪を額に垂らしその影から私を見つめて、囁くように言った。
「俺の夢ばっか見るって本当?」
触れられていないのに、直に触れてくるみたいな声に、嘘がつけなくて頷く。
「仁乃も俺のことばっか考えてんの?」
また頷く。
仁乃も。
それは、壱もってことだ。
壱も、私のことばっか考えてる、ってことだ。
私はもう首を横に振るのに疲れたんだ、たぶん。
「壱…、私、白状します」
正直に、言ってみればいい、考えてること。
「あのね、嫌じゃなかった。ドキドキしました、私。手繋いだことも、デートも、キスも」
「うん」
「でもそれって当然と、思うんです」


