「なに見てんの」
ドアが開いてバスタオルを頭からかぶった壱が部屋に入ってきた。
授業をさぼったことに悪びれもしない壱は、ラフな部屋着に着替えている。
「この写真…ずっと貼ってるよね」
うん、と頷いた壱が俯いてバスタオルで頭をくしゃくしゃとすると。
壱の部屋に充満する壱のにおいに混ざって、シャンプーの香りが漂ってきて今さらドギマギしてしまう。
変態か、私は…。
もうほとほと、自分に疲れた。
よろよろ歩いて窓辺まで行き、この部屋のドギマギを逃がそうと窓のロックに指を掛けた時。
「仁乃、こっちおいで」
ベッドに座ったまま言った壱の優しい声が私の背中にぶつかって、身体が痺れた。
指先が震えて、ロックさえ下ろせない。
…聞かなくちゃ。
なんで光太郎くんと、あんなことしてたのか。
壱は変なとこもあるけど、理由なくおかしなことをしたりしない。
私はゆっくり振り返って、壱のほうへ歩いていく。


