壱の部屋には飾り物なんてほとんどなくて、壁にもポスターやカレンダーは貼られていない。
ただ、机に接した壁には1枚だけ、古めかしい写真が貼りつけられている。
壱が自分の部屋を与えられた時から、今までずっと。
スモックを着ているから、私と壱が幼稚園の時の写真だ。
入学式の写真でも、卒業式の写真でもない、ごく普通の写真。
無表情で小首をかしげている天使な壱の横でにっこり笑う私の右手には、小さな赤い花が。
あ…、これ、夢の。
よく見たら2人の首にはリボンがかけられている。
なんだろうこれ。
思い出せない。
それにしてもこの時は、まだ壱のほうが背が小さかったんだ。
ずっと貼ってある写真なのに、こんなふうにまじまじと見たのははじめてだった。


