すぐに離して壱が平然と私を見下ろすから。
「聞いてた私の話?!」
「うん。脳内録音済み」
「録音しないで!」
「だってかわいいこと言うから」
「全然かわいくないんだけど!」
「…仁乃はかわいいよ」
「………っ」
「実験、劣勢だって気づいてきた?」
少し冷たい瞳で見つめられてなにも言えなくなった私の手を掴み、壱は出口に向かって歩いていく。
その歩調はまた速くて、足がもつれそうになりながらも必死についていく。
なっちゃんと光太郎の前を通り過ぎたら、2人が顔を見合わせているのが視界の端に映った。
((…なんか普通にちゅーしたんだけど、こいつら))


