綺麗な弧を描くボール。
それがスローモーションみたいにゆっくり私の視界に流れて。
そのままゴールに吸いこまれそうだったボールは。
ガンッとゴールの枠に当たって壱のシュートは外れた。
ドンドンドン…とボールの転がる重い音が体育館に響いて、オーディエンスがわっと沸いた瞬間、騒ぎを聞きつけたなっちゃんがやってきて、男子と、教室から様子を見にきていたらしい女子を撒く。
「こらもう5限はじまってんぞ、戻れ戻れー」
ずらずら体育館を出ていく生徒たちをよそに、当事者のはずの壱と光太郎くんは落ちついて向かい合って。
「手元狂った」
「気ぃ済んだ?壱」
「うん光太郎、俺の負けだわ」
「あったりめえだ!あと漫画しか読まねえバスケにわかがスラムダンクすんな!」
「言ってみたかったんだよね、左手は添えるだけ」
呑気にそんな話をする壱と光太郎くんのあいだに割りこんで、私は壱を見上げる。


