「壱は………。ぼっとしてるけど運動できるからね」
羽は死んだように、体育館の床の上でくたっとしている。
「やる気が人よりちょっと少ないだけで、万能器用なんだよ。昔から勉強だってできるし運動だってできるしなにかにつけてセンスもあるし。やる気さえ出せばなにしても成功するよ、壱は」
華奢な身体にジャージをゆるく着た壱が、リバウンドをとって器用にドリブルしているのを眺めながら、淡々と説明する。
普通の女が卑屈になったらただのバカ…。
「仁乃、真顔でのろけんのやめてくんないか」
「仁乃ちゃんなんか恐いよ」
いつもどおり各々ツッコんでくれる優しい友達に、遠くの壱を見たまま静かに言う。
「ねえ2人とも…私に忖度しないでね」


