無気力系幼なじみと甘くて危険な恋愛実験


昼休みにはしゃぐ生徒たち流れのなか渡り廊下から中庭に出ようとした時、


「あ」


壱が短く言って、ふいに立ち止まった。


「……?」


振り返って見ると。



「ちょっと用事あったの忘れてた」



…ちょっと、用事、ね。

私はミニトートを持つ手をきゅっと握る。



「じゃあ私、教室で理沙子たちと食べてくるよ」



壱の「ちょっと用事」は、昔から、女の子からの告白タイムなのだ。




――『壱くんってかっこいいのに本当に仁乃にしか興味ないよね』



昔から言われ続けたことだけど、本当は壱が、私以外の気持ちも大切にする人だということを知っている。


女の子からの告白を、聞かずにスルーすることなんて絶対にない。

時々今日みたいに、忘れそうになってるけど。