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あれは…たぶんどっからどう見たって、路チューだった。
右から見ても左から見ても上から見ても、路チューだった。
仁乃、路チューしたってよ。だ。
誰かに見られていたのではないかと、あれから毎日びくびくしてしまう。
たぶんもう、私と壱は純然たる幼なじみじゃない。
なぜなら路チューまでかましてしまったから。
そんなことが周囲にばれでもしたら、壱好きの女にいつかどこかで暗殺されてしまう…。
セコム…セコムに入らなければ…。
だってもし仮に壱と誰かの路チュー現場なんて見かけようものなら…私だってなにをしでかすか分からない。
理沙子にも新田ちゃんにも、絶対にばれてはいけない。
今、壱とのなにかを聞かれても、私はたぶんなにも答えられない。
自分の気持ちさえ、自分に説明することができない状態なのだ。


