「…山村の夢見たって、本当」
静かな声で聞く壱に、私は小さく頷く。
でも本当は違う。
あれは山村くんの夢じゃなくて、壱の夢なんだよ。
私が毎日毎日見てるのは、壱の夢なんだよ。
「百歩譲ってそれは許すとして、なんでそれを俺に言うかな…」
壱は小さく息をついて、壱に触れている私の手を握った。
そのあたたかな温度から、壱がもう落ちつきを取り戻しているのが分かって。
泣きたくなるほど、安心する。
「…仁乃って俺のこと、本当に分かってないよね」
眉を下げてなぜか愛しそうに言うから、私は壱に握られている手にぐっと力をこめた。
でも、それより強い力で壱に握られて、制されて、なにもできない。
ねえ壱。なんでこんなに、大きくなっちゃったの。
「分かってないって言わないで…」
「分かってないんだって」
「分かっ……っ」
反抗する言葉を遮るように、瞬間、強引に唇をふさがれた。


