ぐんぐん歩いていく壱の背中が遠ざかると、はー、私はようやく安堵の息をつく。
な、なぜか一触即発だった…。
隣の山村くんがやれやれと首を横に振って。
「相原なんも変わってないねえ」
そんなことないよ。
私は心のなかで言う。
背だってどんどん高くなってるし、おかしなことばっかり言うし、するし、なに考えてるのか分かんない時ばっかりだし。
壱は変わってなんかない。
ずっとそう思おうとしてたけど、そんなことない、壱は変わっていってる。
「…山村くんも背、伸びたね」
「中学以来だしそりゃ伸びるっしょ」
「そうだよね…伸びるよね…」
しみじみ遠い目をする私を見て、山村くんはにやり、笑って。
「なんかさっき、ものものしい雰囲気だったな?」
「ものものしい?」
「うん。相原となんかあった?」


