それは今の話で私が聞きたいのは、私がずっと聞きたかったのは…。
「最初!こないだ!昼休み!…したのは、なんでって」
私の前の席に座ったままの壱は、少し黙ったあと宙を見て、小首をかしげて言った。
「…実験?」
「じっけん…?」
「うん。段階踏んでる」
「だんかいふんでる…?」
「ていうか仁乃からもしてよ」
「なにを!」
「キス。それ以上でもいいけど…」
「ババババババカなの?!」
「実験、非協力的すぎる」
「無理無理無理無理…!」
慌てて言うと、壱は短くため息をついた。
「期待してないしいいけど」
壱は立ち上がって、呆然としている私の腕をくいと引き上げる。
「帰るよ」
「帰るって…壱は今日バイトでしょ」
見上げて少しにらんで言うと。
「途中まで」
私の鞄を勝手に持った壱はそう呟いて、教室を出ていった。
なんで、そんな、普通なの。


