わあ、近くで見ても綺麗な顔。
睫毛長いなあ。
こんな至近距離で壱の顔を見たのはいつぶりだろうなあ、眼福眼福、脳内録画…。
私が瞬きもできないでいると。
触れていた唇が、少し離れて。
閉じられず伏せられた壱の目が、私を捉えてまたすぐに近づいてきて。
角度を変えてもう一度、優しく触れるのは唇。
触れるのは、唇…?
ぬくもりが唇から去って、ゆっくり遠ざかる壱の顔を私の両目は見届けてようやく瞬き。
手に持っていた箸が、ぱたりと膝に落ちた。
まだ鼻と鼻が触れそうな距離にいる壱の指先が、私の髪先の寝ぐせを弄ぶから、正気が戻ってきて。
至近距離のまま、取り戻すように瞬きを高速で10回ほどしてから、聞いた。


