あ、なんか今真面目な顔してる。
今なら分かってもらえるかも。
そう思って、私は自然に微笑んで言う。
「ねえ壱、この実験…やめない?」
壱は表情を変えず、瞳だけ私から一瞬そらして考えるような素振り、そしてもう一度私を見て。
「なんで」
「なんでって…」
しまった理由なんて考えてなかった。
思わず言ってしまっただけで。
壱に見つめられながら、私はうーんと考えて、言葉を絞りだす。
「…こういうのは、健全じゃ、ない。と思う。です」
短く息をついて前を向く壱が、空を見上げるので、私もつられて見上げた。
5月の青に、ゆるやかな白い雲。


