バカヤロー仁乃! 髪先触られて、寝ぐせを指摘されただけだろ!? だけなのに…動揺してしまった…負けた…なんでだ…。 顔が赤いのが嫌っていうほど分かるから、一人歩きだせずにいると。 電柱2本分前にいる壱が、振り返った。 「なにしてんの」 「なんもしてない」 「置いてくよ」 壱はそう言って、電柱2本分後ろにいる私を見つめている。 嘘つき。 絶対、壱は私を置いてったりしないくせに。 ぐ、と下唇を噛んで、熱を振り落とすように顔を左右に細かく振ってから、私は駆け足で壱に追いついた。