…いない。

「ふーが〜」

居ないんだよなぁ…

「ふーが!おいこら!」

「んぇ?!なにごめん!?」

ライブが終わった楽屋で突如、勝にペットボトルを投げられた

「ほら帰んぞ。ふーがが仕事終わってものんびりとか珍しいな?」

まぁそりゃあ、早く帰りたい理由があるからねぇ…

でもな?

「…しばらく夏月いなぁからさ、帰る意味がないんだよ」

「なんで?仕事かなんかなの?」

「そうそう。…1週間くらい?職場近くに泊まるんだって。しかもさ、それ終わって休みかと思いきやそこからドラマの打ち合わせに参加するとかで、帰ってくんの夕方だって。」

「マジあの子働きすぎじゃね?」

そうなの、そうなのよ勝くん。あの子働きすぎなのよ。
大丈夫か全然大丈夫しか言わない夏月を、倒れないように支えているけど、
…側にいないなら話は別なのよ!?

「まぁあれだな。久しぶりに自分の時間大切にできるいい機会だと思って過ごすしかないな。」

「そうなんだけど…」

俺にとってこの1週間は人生最大の決断をする期間。

「俺さ、」

「ん?」

「…結婚しようって思ってる。」