#1
俺はk。
平凡な、どこにでもいる会社員だ。
今日も仕事を終わらせて帰る途中。早くアイスが食べたい気持ちがあるのだが、帰る時俺は憂鬱だ。

というのも、俺の帰宅ルートには取り壊し予定の無人マンションがある。そこがとてつも無く不気味で恐ろしいのだ。

「早く壊せよ……」そんなことを思いながら帰る途中、事件は起こった。

「うん?」

マンションの屋上に人影が見える。よく目を凝らして見ると、フェンスの外側に人が立っている。

飛び降りる気か!?
俺はたまらず叫び出す。
「おい!お前!」

しかし遅かった。俺の声が届いた頃には、鈍い音が響いていた。

俺はすぐに駆けつけた。倒れている彼に返事はない。
すぐに救急車を呼ぶ。

「もしもし、あの、マンションから人が飛び降りて、返事がないんだ」

矢継ぎ早に場所などを話したところで、マンションから沢山の人が見ているのに気づく。

(なんだよ…見てないで救急車呼んだりするのが普通だろ…情のない奴らだ…)

その後救急車が来て、病院に搬送された。
重症だが、命に別状は無いとのことで、この件は幕を閉じた。



解説
飛び降り自殺が起きたのは無人マンションです。飛び降りた人は生きていますが、マンションから彼らを見ていた人たちは……


#2
突然だが、あなたはゴミ屋敷というものに入ったことはあるだろうか?
俺の家はちょうどゴミ屋敷だ。
何故こんなことになってしまったのか、俺にもよくわからないが、多分、一つの粗大ゴミが原因だ。その上にゴミを重ねてたら、こんなになっちまった。
外から見るともっと大変だ。家の外までゴミが溢れてる。

そんなある日。
テレビ局の奴らが取材に来た。もちろん俺は家から出なかったが、奴らは近隣住民に話を聞きに行った。
だが、だいぶ話を盛られていた様だ。

「彼が何をしたいのかは分かりませんが、確か奥さんがいなくなってから、ゴミを貯める様になってたと思います」
無理もない。俺の家から毎日毎日悪臭がしていたら、誰だってそうなるだろう。

そして

俺の家は燃やされた。
ゴミが自然発火することはない。つまり誰かが燃やしたのだ。
まぁ俺は買い物に行っていて死ななかったんだが、これは好都合だった。
新しいアパートに住む事にした。

もうゴミは集めない。

というか、集める必要がない。

俺はもう過去を捨てて、新しい人生を生きる。



解説
「ゴミを集める必要がない」
つまり、ゴミを集めて、何かを隠す必要が彼にはあったわけです。
住民は、奥さんがいなくなってからおかしくなったと言います。
彼は、一つの粗大ゴミのせいで、ゴミを集めています。

つまり、彼は奥さんを殺し、それを隠すためにゴミを集め、最終的に住民に燃やさせたという事です。


#3
俺は今電車に乗って帰る途中。
……なのだが、何故か目の前に座った人にめっちゃ睨まれている。

いやもうほんとに恐ろしいのだ。両目を大きく見開き、充血した目で睨んでくる。
この人は二駅前の電車で乗ってきたのだが、マジで訳がわからず、俺はとりあえずスマホを見ていた。

次の駅だ。
するとその人はドアへ向かっていった。
(やっと降りるのかな…)
俺は安心し、ほっと息をついた。

だが、その駅で乗ってきた女子高生が、俺の方を見て驚いた顔をする。まるで銃を突きつけられたかの様な。

(もうなんなんだよ…早く帰ってアイス食べたいのに…)

電車が動き出すと、彼女は少し困惑した様な顔だったが、それでもスマホをいじり始めた。



解説
見知らぬ人にそこまで睨まれるということは、彼は以前何かやってしまったのでしょう。
では、女子高生は何故驚いたのか。考えられることとしては、先ほど睨んできた人が、電車の外からまだ睨んできていた。ということです。