『おばあちゃんの贈り物』-許嫁(いいなずけ)とか意味わかんない-

 ベージュの指定カーディガンから、ちょこんと出た指先が()え萌えじゃん。
 こういうの!
 こういうのがしてみたいの、あたしも。
「…あ、いや。地矢(ちや)です。よろしく」
「こちらこそぉ」
 はいはい。ごあいさつは、おすみでしょうか?
「あのぉ……」沙月(さつき)が、真ん中でヒマしてるあたしをちらっと見た。
「この子、地矢さんのこと、ただの親戚だって言ってますけど?」
 やだ。まだうたがってるの?
「沙月! しつこいよ、もう!」
「いやいや、実はね」
 ゾンビが笑いながら、あたしの腕をとった。
(な…に?)
「おれたち、婚約者なんですよ」
「えええええ?」「ええ――っ!?」
 沙月とふたりで驚きのデュエット。

「なにをバ…」「やあだぁ、もう。地矢さんたら。きゃはははは」
 な…、なんだ、なんだ。
 なにをこんなにウケてるんだ、沙月は。
「お春の親戚さんて、おもしろーい。きゃはははは」
(そうか!)
 そうだよなあ。
 だれだってこんなこと、本気にしないよね。

「本当なのに。なあ、春加(はるか)?」
 こん…のやろう。
 いつまで言ってるんだ、ばかったれ。
「もう、やだ、地矢さんてばあ」
 くすくす笑っている沙月と、
「あはははは」
 いっしょに笑いながら、さりげなくゾンビの腕をふりはらって。
 沙月にわからないように、ゾンビの背中をぎゅううううう。