『おばあちゃんの贈り物』-許嫁(いいなずけ)とか意味わかんない-

「うそ。あのひと? やだやだやだ。カッコイイじゃないの」
「…………」
 返事に困る。
 親戚だって言ったわけだし、ここは、そうでしょ…とは言えないし。
 それにしても――。
 朝のヨレヨレのパーカーとジーンズはどうしたの?
(のぞみ)くん!」
「――――え…」
 そう呼ぶしかないでしょうよぉ、と覚悟を決めて呼んだのに。
 本から顔を上げたゾンビの顔。
(ひゃははははは)
 だれに呼ばれたんだろうって顔だ。
 あたしよ、あたし。
「ごめんね、望くん。おそくなっちゃった」
「――ぁ」
 あたしに気づいて。
 戸惑っていた顔が、みるみる唇をとがらせたお怒り顔に。
「おめ…、何分待たせ――…」
 そこで止まったのは、あたしに連れがいるってわかったからだ。
 目線が同じ制服の沙月(さつき)にちらっと動くと、さっと姿勢まで変わる。
 いやぁ。
 ひとまえでは怒鳴れないっていうのは、お母さんも男の子も同じなのね。
「ごめんね。この子、沙月。なんか買い物あるっていうから、いっしょに来ちゃった」
 …と、いうことにしておいてあげるから。
 あわせてよ、沙月ちゃん。
一色(いっしき) 沙月でーす。なんか、おじゃまで…ごめんなさい?」
 うひょー。
 両手を胸の前で合わせて、こっくり首をかしげちゃって。
 あざと女子、(いち)のかまえ、ね。