『おばあちゃんの贈り物』-許嫁(いいなずけ)とか意味わかんない-

「お春のばかっ。早く行っちゃってよ。わたしはここで、ずーっとひとりで泣いてるんだ。あーん」
 泣きまねまでしてぇ。
 シスターに言いつけるぞ。ほんとに、もう。
「…ほら。来るんなら、さっさと来ないと。おいていくよ。遅れるのイヤだから」
「いいの?」
 いいって言わなきゃ明日には、お春は鎖ジャラジャラのパンク兄ちゃんとデートだって。
 学校中のうわさでしょうよぉ。


 四谷からのあたしと。高田馬場からのゾンビ。
 待ちあわせはJR新宿東口広場。
 そう言ったとたんに、沙月(さつき)が鼻のあたまにシワをよせた。
「やーだあ。それって、どういうひと? もうちょっとマシな所、思いつけないの? だっさーい!」
「だって!」
 しようがないでしょ?
 ゾンビは東京の人間じゃないんだから。
「やめたほうがいいわよ、そんなひと!」
「余計なお世話だ!」
 ん?
 やだ。
 あたしってば、なんだってこんなことで腹を立ててるのよ。
 もしかして…、これが身内意識ってやつ?
 あーん。
 あたしってばいつの間にか、あんなアホたれを、しっかり身内にしちゃってるとわ。