『おばあちゃんの贈り物』-許嫁(いいなずけ)とか意味わかんない-

「そのひととデート?」
「……はっ?」
 いや。ちがう、ちがう、ちがう。
「今日は親戚――、そう親戚の買い物につきあうの。オーケー?」
 見られたのがタッチャンといるときなら問題はない。
 どうせ2度とふたりでなんか会わないだろうし。
 きゅうに余裕で、思わずタッチャンのマネをしたりして。
「あやしーい。そんなこと言うと、確かめに行っちゃうわよ、わたし」
 え。
「やめてよ。本当にただの親戚なんだから」
「あら。ただの親戚なら、わたしがいっしょに行ったって、いいでしょ?」
 そ…おだけど。
 あれこれ聞かれて、いっしょの家に住んでいることまで話したくないんだよ、めんどくさいし。
 どうせ尾ひれがついて、とんでもないウワサになっちゃうに決まってるんだから。
「ごめん。また今度ね」

 ふりきれなかった。
 2段も階段を降りたら、うしろからセーラーの(えり)をつかまれちゃって。
「も! 沙月(さつき)っ!」
「ひどい! お春ってばわたしより、その彼をとるの?」
 そういう問題と、ちがうだろぉ。
「わたしたちの愛も、これで終わりね」
 ま…た、罰あたりなことを、この子は。
 幼稚舎からの女子校育ちは、これだから。