『おばあちゃんの贈り物』-許嫁(いいなずけ)とか意味わかんない-

「うふふ。中等部の卒業アルバムを見せて、ちゃんと確かめたんだから。のがれようがないのよ、お春さん」
「そ…」んなこと、するかふつう。
 なに考えてんの?
「その話はまた今度! ねっ。いそいでるんだよ、あたし」
 ふりほどこうにも、沙月(さつき)の腕は離れない。
 それどころか、抵抗したら、ますます強くしがみつかれちゃって。
 ほとんど引きずって廊下を進む。
「なんか、鎖をジャラジャラつけた、すっごいパンクなお兄さんだって? お春ってば意外なシュミねえ」
「え……?」
(あっ?)
 なんだ。そうか。
 タッチャンか。
「やだ! ちがうちがう。それは誤解」
 あはははは。
 あー、びっくりした。
 いったいなにを見られちゃったかと思ったぜぇぇ。
「なにが誤解なのよ。へらへら笑っちゃって。会ってたのは事実なんじゃないの。ぜんぜん知らなかったわ、そんなシュミがあったなんて」
「…………」
 うーん。
 男の子の好みまで、プロフィールに書かなくてもよいのでは?
「えと、誘われただけなんで。シュミとかじゃないし」
 だからもうツッコまないで。
 さようなら。
 にっこり笑ってはがそうする手が離れない。