『おばあちゃんの贈り物』-許嫁(いいなずけ)とか意味わかんない-

 耳を両手でふさぐと、パッとステージにライトがついて。
 ステージの右側にいた影がガッ! とアンプに足をのせて。
「あっ!」
 真っ黒なツンツン頭がフルスイング。

 ジャガジャーーン

「ゾンビだ」
「うぉぉおおお」「うぉぉおおお」
 とたんにまた上がった雄たけびを打ち消すみたいな楽器の音がステージから轟く。
 ゾンビだ、ゾンビ。
「あはははははは」
 ぶんぶん頭を振っているのにくずれないツンツン髪がおかしくて。
 もっと見たいのに、前のひとたちが腕まで突き上げるからなにも見えない。
「んもう! もう!」
 ぴょんぴょん再開。
 肩を叩かれて振り返るとタッチャンが、あたしにも腕を上げろって合図する。
「あたしも?」
 言ったのは聞こえなかったと思うけど。
 タッチャンが、あたしの顔を見ながら見本みたいに拳を突き上げるから。
「はいな」
 素直におつきあい。