Lesson5.酒にまじわれば赤くなる

 5月20日。晴れ。涼風。
 朝から、超・興奮。
 生まれて初めてひとりで夕方から外出するんだ。
 しかも、帰りの予定は夜の10時!
 門限6時半なのよ?
 あんびりーばぼー。


「おじさん、おれ、今月からこっちでも定期で活動を始めるんですけど――。来ませんか」
 3日前。朝ごはんのときゾンビがテーブルにのせたチケット。
 お父さんは「おれ?」と驚いてから、手に取ってしげしげとチケットをながめた。
「ああ、ここ、まだあるんだねえ。懐かしいな」
 横からのぞいたお母さんも
「あら本当だ。むかしと違ってずいぶんチケットもすてきになっちゃってるけど――。懐かしいわね」
 驚いたのはあたしだけ。
「おじさんにもらったギター、今でもおれのメインなんですよ」
「パパにはもう弾けないわよねぇ」
「失礼な」
 え? なになになに?
「…そうだな。(のぞみ)が保護者なら安心だし。春加(はるか)、おまえ行ってみたら?」
「春加にはまだ早くないですか?」
「春加ちゃんが来るなら、うちのマネージャを護衛につけるよ」
 え、え、え?

 そして、わけがわからないまま受け取ったチケットで、あたしは初めての夜遊び権をゲット。
 親戚って、すばらしくない?