『おばあちゃんの贈り物』-許嫁(いいなずけ)とか意味わかんない-

 くそっ、くそっ。
 もう一生おばあちゃんのためになんか、泣いてあげないから。
 今まで出ちゃった涙も、返してよぉぉぉ。

 腹いせに、使いもしないティッシュを次々引きだしていたら、カシューンとアンプにつながっていないエレキギターのまぬけな音がした。
 いつの間にかもどってきて、ベッドに腰かけたゾンビが、ギターでなにか弾いている。
(なにを、のんきにっ)
 フレットの上を、自由自在に動く指にムカムカしてきたころ、
「あのなぁ」
 ゾンビが疲れた顔で、あたしを見た。
 なによ。
「じーさまたちが兄弟のおれらは、またいとこ。他人も同然や」
「またいとこ?」
「そこからかい。…ったく。学校でなにを習っとるんや、おめぇは」
 うそ。知らなかった。
 親戚って他人なの?
「そ…お、なの?」
「えぇなぁ。なーんも知らんゆうのは、人生がドラマチックで」
「………ぐ…」
 ゾンビがひざに頬杖(ほおづえ)をついて、ため息をついた。
 ばかにして。
(でも…)
 よかったぁぁぁぁ。
 ボケてなかったんだぁ、おばあちゃん。
(ごめんねえ)
 とりあえず、本当に
「よかったぁ……」
 たまっていた息をはきだして。
 ふと見ると、頬杖をついたゾンビの顔に、にやにや笑いがうかんでいる。