『おばあちゃんの贈り物』-許嫁(いいなずけ)とか意味わかんない-

 うっわぁぁぁぁ。
 性格悪ぅい。
 だいたい、どこの! だれが!
 今! 自分の耳で聞いたことを、風のうわさにするんだよう。
「ハチミツは自分で入れやぁ」
 自分のカップに鼻を寄せて香りを楽しんじゃったりして。
 その、おちつきぶりがアヤシイと直感。
 だって。
 あたしは、こんなに衝撃をうけたのに。
「知ってたね?」
 知ってたんでしょ、きみ!
 ゾンビがスツールに腰かけて腕を組む。
「だったら?」
 だったら…って。
「なに、おちついてんのよ! いいなずけってなに?」
 教えなさい。
「教えてええのか」
 ええわい。
「うーん」ゾンビがうつむいてカップのフチをこする。
「――婚約者。わかる? 結婚を約束した関係やな」
「…………」
 びっくりして時間が飛んだ。

 ハッと気づけば、あたしは壁におでこをぶつけていて。
「斬新な反応だな」
 ゾンビはくつくつと笑っていた。
 笑ってる場合か!
「婚約者だよ? 婚約者!」
「だからぁ。ばーさんが決めたことなんか、関係ねぇやろ、おれたちに」
 う…そ。
「おばあちゃんの遺言(ゆいごん)…て……」
 脚からすーっと力がぬけて。
 へなへな床に座りこむ。