Lesson4.ひとのうわさも49日

「はい。…じゃ、ちょっと、おあずかりしますね」
 みかけだけは紳士にゾンビが会釈して。
 いよいよ階段の前まで引っぱられてきたとき。
「なんか、うまくいってるようじゃないですか。ひとまず安心だわねえ」
「ほうやわ。案ずるよりなんとやら。若い者はすーぐ仲良くなるが」
 おばさんたちの話が聞こえてしまった。
 若い者?
 それって、あたしとゾンビのこと?
「ねえ」
 聞こえた?
 ワイシャツの袖を引っぱったのに。
「あん?」
 ゾンビは階段を降りはじめる。
 墜落(ついらく)こわさに腕を引かれるまま階段を降りはじめたけど、つい聞き耳を立ててしまう。
「あとは、いっくら許嫁(いいなずけ)や言ってもぉ、婚前交渉やなんてことがおこらんように、ようく監視しとくがよ、加代子さん」
 いいなずけ?
 それ、なに? …ってか。

 婚! 前! 交! 渉!?

 わかる。そっちはわかるぞ。