Lesson3.メロンより証拠

 5月8日。くもり。
 おばあちゃんの49日。
 今日、おばあちゃんのお骨は、恵子ちゃんと富山に帰る。
 あちらでは、社長の恵子ちゃんが喪主になって、おばあちゃんと杜氏(とうじ)さんたちとの小さなお別れ会をするそうだ。
 目に見えるお骨箱もなくなると思ったら、本当におばあちゃんがいなくなるんだと思って。
 お坊さんのお経を聞きながら、お通夜のときよりぐすぐす泣いちゃったあたしを、
『よぉ泣くやっちゃなぁ』とかって、あいつ。
 頭をなでるんだよ、おばあちゃん。
 ひとをなんだと思ってるわけ?
 いくら親戚だからって。
 みっつ年上だからって。
 えらそうなのにもホドがあると思わない?
 百年も前から家にいるみたいな顔してさ。
 おばあちゃーん。
 どうしてオバケになって、出てきてくれないの?
 どろろーんと出てきて、思いっきりビビらしてやってよう。
 ああ。
 くぅ、やぁ、しぃぃぃぃぃぃ!