「グダグダ言ってないで既成事実を作ればいいのよ。早く美緒と付き合えばいいじゃん。何年焦らすのよ、見てるこっちの身にもなってよね」
「それ本気で言ってんの?あいつ俺のことお母さんって呼び間違えたことあんのに?」
先生にお母さん呼びはあるあるだけど、このパターンはかなりのレアケース。しかもお父さんでもねーし。
「あんた達ってどこまでガキなの?
もう付き合ってられない」
「なんで渡瀬がキレるんだよ」
こいつはなんにもわかってない。
美緒は今朝だって無邪気に抱きついてきた。一度離れたのにまたくっついてくるなんて何とも思ってない相手だからできること。
言ってみれば美緒にとって俺はたぶんぬいぐるみと同レベル。
こんなに可愛くないぬいぐるみが必要か?
って思うけど、不安になると何にでも手を伸ばすあいつが変なものを掴まされるよりは、俺がぬいぐるみ役をやった方がマシだなと思ってるだけ。



