「それにしても相合い傘はないでしょ、しかも相手が奥寺さんって。最初でがつんと拒否しなさいよね」 渡瀬は不機嫌極まりない。 「騙されたんだよ、って何言っても言い訳か」 あいつはある意味天敵だ、そう肝に銘じとく。昨日の誤解は、何一つ解けていないし。 でも、なんて説明すれば? あの露骨な拒否の仕方は120%俺への嫌悪感なんだろ。 話そうとしたら泣いて拒否されたし。 あれ……でもいつも通り甘えてきたな。 色々忘れてくれていいのに。 悩めば悩むほど頭がクラクラした。