願いを込めて、シャットダウンしようとする意識に抗ってみた。
羽が生えたみたい。
いつの間にか、発火しそうなくらい熱を帯びていた身体が宙に浮いて、一瞬で重力や軋みから解放されて。
何にも脅かされる心配のないほどの安心感に、思わず自分の存在のすべてを委ねてしまった。
「翔ちゃん……」
気力をかき集めてどうにか少しだけ目を開けた。
「大丈夫だから。心配すんな」
私は翔ちゃんに抱き抱えられていて、いつもの翔ちゃんの呆れたような笑顔がすぐそばにあって。
あぁ、翔ちゃんに届いた、って思ったらホッとして、そのまま目を閉じてしまった。



