「どっちにしたって翔ちゃんのほうが熱が高いんだから」



ドキドキを気づかれないように、屈んで散らばった荷物を拾い集めた。



「何寝言みたいなこと言ってんだよ。ほら、自分の部屋に帰るぞ」



高熱があるくせに声だけは変わらず平温。その落ち着きを少し分けてほしいほどに。



「翔ちゃんのことが心配で、なのになんで……」



咄嗟に立ち上がってそう言ったら、急に目の前が真っ白になった。


「美緒!!」


意識がぼんやりしてるけど、温かい腕がしっかりと抱き止めてくれたのがわかった。