翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?


「心配性のオカン系はやっぱ健在だったか。幻や気のせいなんかじゃなかった……」


嬉しいような悲しいような。
複雑な気分。


「宮辺がオカン系なんて、そんなこと言うのあんただけだと思うけど?」


「どうせ子供扱いってことでしょ?」


「さぁね、本人に聞けば?」


靴を履き替えて昇降口を出ると、なっちゃんは呆れたように笑って傘を開いた。


翔ちゃんは私の相手をするのがやっぱり面倒になって、なっちゃんに押し付けようとしてるのかも。


「迷惑かけるようなこと、もうしないのに」


淡いブルーの傘の縁を跳ねた雨粒が伝ってく。


「美緒みたいな幼なじみ持つと宮辺も大変だ」


「なにそれどういう意味?」


大人っぽい苦笑を浮かべるなっちゃんが、ちょっとだけ憎たらしく思えた。