「イタズラって。ま、まさか!濡れて帰って自宅に入れなかったから、お風呂借りただけです!」
「それだけ?」
「それだけ、です」
「そっか……チッ」
え、今小さく舌打ちしなかった?
「他にも聞きたいこといっぱいあるんだけどさ、あたしもう行かなきゃいけないんだ」
実日子さんは申し訳なさそうに目を伏せてしまった。やっぱりデートなんだ。
こんな時間にでかけるなんて、特別な人に会うに違いない。
「今夜うちらのママ一緒にお出かけでしょ、だから翔のことお願いしていいかな、って思ってて」
「えっ、翔ちゃんどうかしたんですか?」
心配になってそう聞いたら、実日子さんはたいしたことないんだけど、と前置きしてから熱出しちゃって。と小さく呟いた。



