翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?



「あ、そうだった!制服!すみません……すっかり忘れてて」


荷物を受け取りつつ、やっぱり実日子さんから目を離すことができない。


「実日子さんこれからデートですか?ネイルかわいい〜。いつかわたしもそういうのやってみたい」


「こんなの簡単だよ、セルフでもできちゃうんだから。今度教えてあげるね」


「わぁ、ほんとに?嬉しいです!」


実日子さんは知的な大人女子で、いつ会ってもキラキラなお姉さん。
まさに私の憧れ。
いつかこんなふうになれたらなぁ。
そして翔ちゃんをドキッとさせてみたい。


キレイだよ。
なんて言われたら。


「キャー!ないない!」


想像したら声出てた。
恥ずかしすぎる……。
それなのに実日子さんは、そんな意味不明な行動を優しく見守ってくれている。


「何の妄想してたの?お姉さん知りたいな」

「ダメです!秘密です」


えへへと笑ってみた。
いつか実日子さんとのろけバトルしたいけど、それはやっぱ望み薄いか。


「ねぇ、美緒ちゃんてなんでそんなに可愛いの?ちぇりこ先生の新連載読んでる?主人公のカンナにそっくりだよ。気づいてた?」

「えっ、あの漫画の?
知ってるけど、全然ピンとこないです」


褒められたのかな。
恥ずかしくて顔が熱くなる。

「ごめん興奮しちゃって。今日はそんなこと言いに来たんじゃなかった。話をもとに戻していい?」

「はい?」

実日子さんは私に渡した袋を指差した。

「それ。なんでうちにそんなのがあるのかなって」

「あ、これは……」

「翔のヤツ、美緒ちゃんにイタズラしてないよね?」

急に実日子さんの目が鋭くなる。