なっちゃんとの電話を切って、
現実逃避というものについて真面目に考えた。
翔ちゃんがモテてるっていう現実から逃げていたんだとすれば、私はもうずっと前から翔ちゃんに恋していたことになる。
に、鈍い……。
あまりに鈍い自分にへこむ。
奥寺さんという美少女が現れたせいで、ようやく現実を見たんだ。
彼の生活空間のどこかにいられればいいやって思っていたその守りの姿勢に、ついに限界を感じたんだ。
考えれば考えるほど暗い気持ちになって、たった今だって翔ちゃんは奥寺さんと仲良く電話とかしてるのかも。
なんてことを思ったら、いてもたってもいられない気がした。
もうやだよ。
頭いたい。
考えるのが嫌になって机につっぷしたら、
ふと、誰かが階段を誰かが上がってくる音がして顔を上げた。



