「もしかして、だけどさ」
「な、なんでしょう?」
なっちゃんの声が意味深に響く。
「あんた、宮辺がモテてるっていう現状をこれまで視界に入れようとしなかった節がある?」
「……そう、なのかな?」
確かに私は翔ちゃんしか見ていなかった。
翔ちゃんの周りにいる人は、その他大勢でしかなかった。
つまり、周りの人が翔ちゃんをどう見ていたかなんて知らない。
確かに無頓着だったかも。
「ねぇ。そういうの、なんていうか知ってる?」
「うーん。よくわかんないや」
「現実逃避!」
「えっ!」
なっちゃんの言葉が、ハートをぐっさり貫いた。



