言ってしまったら、ギリギリ保っていたせつない気持ちがぶわわと溢れだした。 止めるに止められない。 制御不能だよ。 「どーしよう、なっちゃん」 鼻をすすった私に、なっちゃんは大丈夫だよ。って優しく言ってくれた。 「でも、もう遅いの。しょっぱなから失恋なんだもん!」 翔ちゃんのあの甘い香り。 しゃぼん玉が弾けたみたいな、清楚で優しい匂い。 あれは奥寺さんの香りだって思い出してしまった。