「岡崎が動画を送ってきたんだ。その意味、美緒にはわかってんだろ?」
美緒は一瞬こわばった顔つきになって、その動揺を隠そうとした。
心臓の音が耳鳴りみたいにうるさい。
でも、このままではいられない。
「見るわ俺」
覚悟を決めて画面に触れると、岡崎が神妙な面持ちでしゃべり出した。
『じゃあこれから、平澤さんが全身岡崎になってしまった理由をここにかきます』
「かくって……動画なのにどういうこと?」
美緒は何も言わないで、食い入るように画面を見ていた。これから恐ろしいものを見るとわかっているかのような、血の気のない顔で。
画面がバストアップから下に移動すると、岡崎は右手にペンを持っていた。
そのペンが、サラサラと滑るようにノートの上を走る。
文字……じゃない。
ものすごく流暢で、無駄のない動きで、柔らかい線や力強い線が、見覚えのあるものを描いていった。
これ、知ってる。
江森に押し付けられた漫画の登場人物だ。
俺に似てるってうるさかった……まさにあれと同じキャラクターだった。



