翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?


部屋に戻って携帯を手に取った。
少しのぼせたかもしれない。


電話をかけようとしただけで、不自然に息がつまって苦しくなる。


取り乱したりしないですむから大事な話は人がいるところでしたほうがいいって聞いたことがある。


ファミレスなんかがベストなんだろう。でももしかしたら姉貴は、それなりに気を遣ってくれてたのかも。


虐げられてばかりで可愛がられた記憶は全然ないけれど、たぶんそれがあの人の愛情表現だった。


ひとつため息をついたとき、妙な通知が入った。それは「平澤さんと一緒に見て欲しい」という動画付きのメッセージで送り主は……岡崎。


自宅で会うのには少し抵抗があったけど、雨にせかされるように電話をかけた。


2回目。
3回目。
4回目のコール。


深く息を吸う。


「美緒、そろそろちゃんと話そう。これからうちに来れる?」