「じゃあさ、しんどいかもしれないけど、もうしばらくこの仕事に付き合ってくれる?」


岡崎君が不安そうに呟いたのがどこかいじらしくて、ただ、力になってあげたかった。


「うん、わたしなんかでよければ。微力ですが改めてよろしくお願いします」


自販機横にあるゴミ箱に空き缶を捨てて、また彼の隣に座った。


「わたしの手も見せるよ」


それは宣誓みたいなもので。
先生にこの指捧げるつもりでバイトします、みたいな。
ふたりの顔の前に右手を広げてみせた。


「まだまだだけど、伸び代はあるね」


「えー、こんだけ潰れてるのに?」


笑いあっていて気づかなかった。
名前を呼ばれていたことに。


「……美緒」


振り返ったら。


「翔ちゃん!今からバイトなの?それとももう終わった?」


嬉しくなって駆け寄ろうとしたら、それを制止されてしまった。