でも悩んだ結果、彼はペンを選んだ。
どれだって大事な作品なんだと、
そう呟いた横顔が男前だった。
いつか実日子さんが話していた、ちぇりこ先生のリアル生活でのふんぎりがパワーに繋がってる、っていう読みはあながち外れていなかったというわけ。
岡崎君が橘之宮ちぇりことしての人生を選んだんだから、私と華世ちゃんは、この秘密はお墓まで持っていこうと誓いあった。
下手にばれたら世間にどう面白がられるかわからないし、読者を混乱させてしまうことになる。
それにお堅いうちの進学校が、バイトどころか生徒の就労を許すとも思えなかった。



