「大丈夫。時間は作ればいいんだし。でもそんなふうに言ってくれるなんて思ってなかったからすげー嬉しい」

「ほんと?なら頑張れる」

でも気付けばもう家は目の前で、バイバイしなきゃならない。

「そんな気合い入れなくても大丈夫だから」

翔ちゃんが頭を撫でてくれた。

「うん」

まだまだ離れたくないな。

「じゃあもうちょっと勉強する?一緒に」

あれ、心の声が聞こえちゃったのかな。
届いて嬉しい。
すごく嬉しい。

「する!やった!ばんざい!!」

もう、見栄も外聞もどうでもいい。
犬のように全身全霊で、この喜びを翔ちゃんに伝えたいと思った。

「美緒」

「ん?」

意味深な沈黙にどきりとする。
切れ長のキレイな目に熱くみつめられるの、いつになったら慣れるかな。

「ほんとやばいくらい好き」

「しょ、翔ちゃ……わ、わた、わた」