「今のでちょっとは学習した?言っとくけど男の本気の力なんてあんなもんじゃないから。逃げられないから。わかった?」
「わかったけど、でもさ……」
「そろそろ制服に着替えて自分の部屋に帰れって、俺もすることいろいろあるし」
私を部屋から追い出そうとする翔ちゃんに、素直に従うことができなかった。
「翔ちゃんあのね」
言葉どころか、形にもならないこの気持ちを翔ちゃんにわかってほしい。
どうすれば伝えられるのかわからなくて、ひたすら切なくて苦しくて、どうしようもなくなって。
だから、背中を向けてる翔ちゃんの服の裾をそっと引っ張った。
「違うの、翔ちゃんわたしは……」
ほんとはこのまま背中にしがみつきたいんです。



