「……やだ」
「は?」
「だって翔ちゃんわたしの言うこと聞いてくれなかったじゃん、さっき!」
それはほとんど腹いせだった。
ちょっと昨日の仕返しもしたかったんだ。それに普段のありがとうの気持ちをちゃんと伝えたかった。
翔ちゃんは昨日といい今日といい、女の子の気持ちっていうものをもっと学習すべきだと思う!
そう、私は彼の左腕の自由を奪ったつもりでいた。
「なに子供みたいなこと言ってんの、この状況わかってる?」
「わかってなーい」
「怒るよ?」
「ふーんだ」
プイッとそっぽを向いてやった。
この状況わかってるかだって?
私は昨日も経験済みだもん。
こんなのなんてことないよ。
なんといっても経験者ですから!



