「……いや、いいいい!」
「遠慮しないで!
いつもしてもらうばかりだったし、髪を誰かに乾かしてもらうってすごく気持ちいいんだよ。時々寝ちゃったりしてごめんね」
ほんとにごめん。
今まで子供っぽくてごめんね。
もう男子校の人たちにあんなふうに見られないように気を付けるから。
「いや、慣れてない!落ち着かない!」
椅子をくるりと回して翔ちゃんの言葉を遮ったけど、それでもドライヤーを取り上げようと翔ちゃんは必死に抵抗してきた。
「素直じゃないなぁ、ほんと可愛くない!」
「可愛くなくていいからそれ貸せ」
「やだ!」
「貸せってば!」
翔ちゃんが急に立ち上がった勢いで私の手からドライヤーがするりと滑って、翔ちゃんの足の甲に落ちた、はずだった。
「あぶね……!」
「きゃ!!」



