「わぁほんとだ、この子すごくカッコいい。しかもなんか翔ちゃんに似てるかも!」
背中を向けて、制服のポケットに手を突っ込んで、振り向き様にこっちを見てるクールな横顔が、すっごく似ている。
前髪長めの黒髪から涼しげな目元が覗いて、手足が長くて背中も広くて。
なんかもう見れば見るほど翔ちゃんにしか見えなくなってきた。
少女漫画に出てくる男の子に似てるなんて、翔ちゃんがモテるのは当然のことなんだなぁ。
「ね、実日子さん、このキャラ翔ちゃんにそっくり!」
「やめてよー。あんなのとちぇりこ先生がお描きになった何もかも完璧なルカ君を一緒にしないでくれる?」
そんなことよりこのヒロインのがすっごい純粋でひたむきで可愛いの!美緒ちゃんぽいの!って、実日子さんはヒロインを褒め称えだした。
まじまじと、主人公の女の子をよく見てみた。
お目目くりくりで睫毛も長い。
手足は華奢でくびれもあるし、笑顔にも泣き顔にも心をきゅっと掴まれる。
どこがわたしと?
「実日子さん本気で言ってます?主人公と私の共通点があるとしたら髪の長さだけだと思うんだけど」
優しい華世ちゃんだって、そっくりだとは言わない気がする。



