家に着いたら翔ちゃんは一切こっちを振り返らずに家に入ろうとした。私はというと、自分ちの玄関先でまた鍵がないことに気付く。 「翔ちゃんあの」 「早く着替えろよ?もう熱出すとかお互いなしな」 こっちを見ないまま翔ちゃんが呟く。 「うん、それはわかってるんだけど」 「あーもうなんだよ?」 やっぱりものすごく面倒臭そう。 「鍵がない」 「またかよ」 吐き捨てるみたいにそう言って、部屋にひとりで入っちゃった。