「……天使じゃなくない?」

「何言ってんの!よっ、ロマンチスト!」


私だけが彼の一挙一動を覚えていて、何も覚えていない翔ちゃんはずるいって、あんなに思っていたのに。


なのに思い出しそうになってる姿を見たらこんなにも焦るなんて。


思い出して謝られるのはいやだ。だったら一生思い出してくれなくていい。
傷付きたくない。


「なんか美緒の顔が浮かぶんだけど……」

「気のせいだよ、翔ちゃん寝てたもん、グーグーね。そりゃもう気持ち良さそうに」

「うーん。そっか」


ピチャッ。
ポタッ。


「え?」

「マジ?」